藤岡オート有限会社が行う法定点検

法定点検とは


まず法定点検は、法律で定められていることを知りましょう。車を使用する人は、道路運送車両法 第48条(定期点検整備)により点検を受ける義務が明記されています。自家用車の場合、法定点検には、1年ごとに行う12ヶ月点検と、2年ごとに行う24ヶ月点検があります。点検内容は12ヶ月点検(1年点検)と24ヶ月点検(2年点検)では、それぞれ項目は異なります。なお、3ヶ月点検及び6ヶ月点検もありますが、これらは事業用自動車(バス、タクシー、レンタカー等)または貨物自動車等で、自家用車では必要ありません。

法定点検と車検の違い

法定点検と車検は一見似ている印象を受けますが、内容と目的はかなり違います。法定点検は、車が故障なく快適に走れるかどうか確認するものです。車検は、車が保安基準(道路運送車両法に定められる規定で、自動車の構造,装置,乗車定員等)に適合しているかを検査するための制度で、点検ではありません。例を挙げると「エアクリーナーエレメントの状態」で、法定1年点検の項目に含まれています。エアクリーナーエレメントが目詰まりすると、エンジンは十分な空気を吸い込むことができず、アイドリングが安定しないばかりか、不完全燃焼の可能性もあり、燃費の悪化に繋がります。一方の車検では、排気ガス検査は行いますが、エアクリーナーエレメントの状態や吸気状態のチェックは行いません。これで分かるように、安全かつ快適に車を走らせるためには車検だけでは不十分であり、その車が本来持つ快適な走行性能を維持するためにも法定点検や日常の点検が大切になってくるのです。

法定点検は義務なのか?

まず、法定点検は道路運送車両第48条(定期点検整備)により規定されている義務です。しかしながら、受けなかった場合の罰則規定はありません。法定点検を受けないというのは、主に12ヶ月点検となります。通常、24ヶ月点検は車検と同時に行うためです。法定点検が法律に定められている背景には、車の保安基準を満たしていれば問題が指摘されない車検だけではカバーしきれない、ブレーキパッド等の減り具合や経年や走行距離により本来の性能が発揮できるか、個々の車の状態を点検・整備することができるからです。また、メーカー保証も12ヶ月点検を行っていることを前提に作られていますので、点検をしなかったことに起因する故障や不具合の発生の可能性もあります。なお、バスやトラック等の事業用車両に対しては、点検をしないと罰金や最悪な場合、運行停止命令などの罰則があるので、注意してください。

法定点検の重要性とメリットとは

法定点検を受けることにはいくつかのメリットがあります。1つ目は、12ヶ月法定点検を受けている場合、点検項目に該当する箇所の不具合や故障が起きた場合はメーカー保証が受けられることです(ユーザーの重大な過失を除きます)。2つ目は、法定点検を受けていれば、整備不良等に起因する事故が起こった場合、ドライバーの法的責任が軽くなる可能性が高いことです。そして3つ目は、定期点検を「点検整備記録簿」に記載しておくことにより、下取りや中古で売却する際の査定評価が上がることです。たとえ同じ年式で走行距離でも、きちんと定期点検を受けた車の方が過去の点検実施の履歴が把握できるため、安心感が高いからです。

法定点検の種類

法定12ヶ月点検(法定1年点検)


ブレーキペダル・クラッチペダルの遊びなど車内点検、エンジンルーム点検、下まわり点検、外まわり・足まわり点検と分かれています。エンジンからブレーキの効き具合など、安全と快適さに関わる点を総合的に点検します。対象車種と点検項目数は、次のとおりです。

・自家用車(軽自動車含む):26項目
・中小型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車):82項目
・バス・トラック・タクシー(事業用):96項目
・大型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車以外):96項目

法定24ヶ月点検(法定2年点検)

24ヶ月点検は、「1年ごとの点検に加える」とされていますので、12ヶ月点検項目も含みます。そのため24ヶ月点検の方が点検項目は多くなります。例えば「制動装置」の項目では、12ヶ月点検では《ディスクとパッドとのすき間、パッドの摩耗》だけだったのが、24ヶ月点検では《ディスクの摩耗及び損傷》が点検項目に加わります。対象車種と点検項目数は、次のとおりです。

・自家用車(軽自動車含む):56項目

中小型トラック(自家用)やバス・トラック・タクシー(事業用)は対象外です。これら車両は、車種によって3ヶ月や6ヶ月点検が義務づけられており、12ヶ月点検が最長期間であるためです。

法定6ヶ月点検

自家用の中小型トラック、レンタカーに義務づけられています。

・中小型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車):22項目

3ヶ月点検と6ヶ月点検は、バスやトラック、レンタカー等の不特定多数の乗客を乗せたり、たくさんの荷物を積んで走ったりする事業用車両のためのものです。日本の旅客交通や物流は、これらの大型車両によって支えられていますが、走行距離は自家用車に比べて非常に長く、また車体が大きいために事故が起きると、被害も大きくなる傾向があるため、一般の乗用車とは法定点検の扱いが異なります。自家用車と比べて点検が短期間のサイクルになっているのはそのためであり、用途によってこうした違いがあるのは、安全性・社会性の面からも理にかなっていると言えるでしょう。

法定3ヶ月点検

これは事業用の車両、すなわちバスやトラック等に対して義務化されており、事業用車両の維持管理を担当する整備管理者は整備管理規程を定め、定めた規程に基づき業務を遂行する必要があります。しかしこの定期点検を実施しなかった場合や、整備管理者制度に違反した場合、「道路運送車両法違反110条」違反により30万円以下の罰金に処せられます。点検項目は次のとおりです。

・バス・トラック・タクシー(事業用)、大型トラック(自家用)、レンタカー(乗用車以外):47項目 
・被牽引自動車:20項目